マイナビ進学U17

公式SNSアカウント
ニュースやおもしろネタを
お届けしてます!フォローしてね
公式アカウント一覧
意外と気づいていない、自分の興味がわかるかも!
あなたがよく見る記事テーマランキング

iPS細胞を活用して、難病の根本治療を目指す

株式会社ヘリオス

専務取締役 事業開発領域管掌 / 医師

澤田 昌典

 
 

澤田昌典氏インタビュー写真

京都大学山中教授によるノーベル生理学・医学賞受賞が記憶に新しい、iPS細胞。さまざまな細胞へと分化できる“万能細胞”と言われるこの細胞の発見により、「再生医療」の研究が盛んになった。その再生医療を事業化し、難病の治療に挑む企業・ヘリオスで専務取締役を務める澤田昌典氏に話を聞いた。

ライン

paragraph 1

現在行っている事業内容を教えてください

澤田昌典氏インタビュー写真

iPS細胞をはじめとした細胞技術を用いた新薬の開発を行っています。iPS細胞は様々な細胞へと分化できる特性上、様々な臓器や器官の治療に応用できますが、我々はまずは眼科領域での利用を目指しています。

iPS細胞を用いた治療がこれまでの治療と大きく異なるのは、細胞の老化を原因とする疾患の根本解決が可能では、と考えられることです。私たちが治療に取り組んでいる、加齢黄斑変性という、視力の低下や失明につながる目の病を例に説明しましょう。

黄斑とは、目のレンズを通ってきた光が集る、カメラでいうフィルムのような部位です。この黄斑にある細胞が老化し、異常な血管組織ができたり、炎症を起こしたりすることで、視細胞が正常に機能できなくなってしまうのが加齢黄斑変性です。これまでの加齢黄斑変性の治療法は、異常な血管組織を薬で退縮させるというものでしたが、これは根本的な治療にはならず現状を維持するのみ、さらに一定期間おきに何度も薬を投与し続ける必要がありました。 また、この治療法自体が効かないケースもあり、有効な治療法の開発が待たれています。

私たちの開発する治療法は、iPS細胞から作製した新しい網膜色素上皮細胞を移植することによって、老化した細胞を置き換え、機能を根本から復元しようというもので、一度の治療で効果が持続すると期待されています。2014年9月に理化学研究所等で実施された臨床研究においても、その後の再発が抑えられているとの発表がなされています。

ただし、現段階では細胞の機能が復元するまでには相応の時間がかかるのも事実です。”再生”医療という言葉から想起するような、まったく問題のなかった状態へと速やかに回復するというところまではまだ到達できていません。「人体の悪くなった部位を交換する」ような感覚で機能回復や根本治療を行えるようにすることを目指し、日夜研究を進めています。

paragraph 2

現職に就いた経緯を教えてください

澤田昌典氏インタビュー写真

医学部を卒業し、呼吸器内科医として勤めているときに、勤め先の医院ではとても処置しきれないくらいの数の急患患者と相対するなど困難な場面を目の当たりにし、医療だけでできること、自分だけでできることの限界を感じました。

それをきっかけに、「医療以外のアプローチを学ぼう」と働きながらビジネススクールの夜間コースに通ったのですが、そこで出会ったのがヘリオスの社長である鍵本でした。すでに別のバイオベンチャーの立ち上げを経験していた彼と話すうちに、また再生医療の可能性を考えるうちに、ヘリオスでなら医療だけでは解決できない問題を解決できるのではと思い、MBA取得後に3人目の社員として入社しました。

現在は、社内で進める各種事業の方向性を考えたり、経営上の課題を洗い出し何から取り組むかを決定したりしています。医療と経営、両方の知識があることは、私個人にとっても、会社にとっても大きな強みです。

医薬品業界では、医療の現場のニーズを汲んで研究を行い、研究成果を元に製品開発を行い、医療現場へ販売し、そこから得たフィードバックを元にまた研究を行うというサイクルがあります。医療の現場はこのサイクルのなかでも一番重要なポイントですから、私にしろ鍵本社長にしろ、ここについて実体験をベースにした知識がある点は競争優位性だと思っています。

paragraph 3

どのような
大学生でしたか?

ちょっと恥ずかしい話なのですが、進路を決めるときにあまり深く考えられていなかったんです。医学部に進んだのも、医師家系で実家が開業医だったことに大きく影響されています。そんな心持ちでしたから、大学に入ってしばらくは、正直あまり真面目な学生ではありませんでした。

真剣に勉強するようになったのは現場自習などに出るようになってからですね。将来のことが目の前に差し迫ってから、何かを学ばないといけないと必死になりました。

それ以降の進路選択も、一見ロジカルじゃない決め方をしたのですが、共通点があるとすると、人との出会いの影響を強く受けていることです。呼吸器内科を専門としたのは目をかけてくれた先生がいたからですし、ヘリオスに入社したのも鍵本社長との出会いがきっかけでした。

また、何にでも興味を持って取り組んで来たのも私のキャリアの特徴だと思っています。新薬開発には、医療や生物の知識はもちろん、製品化に向けて工学の知識も必要ですし、経営の知識がなければ継続的に事業展開はできません。さらに、認可を得るにはレギュラトリーサイエンス(薬の有効性と安全性を評価する科学)の知識も必要です。

各領域の専門家と会話ができるくらいの知識を持てているのは、幅広い興味のおかげだと思っています。

paragraph 4

今後の目標を
聞かせてください。

大きく3つの目標を持っています。1つめは、難病に対して有効な新しい治療法を確立すること。新薬開発に携わるものとして、今まで治らなかった病気を治すことは大きなモチベーションです。

2つめはヘリオスを大きくしていくこと。技術面や医療の現場を知っているという意味では大手企業にも負けない部分があると自負していますが、経営の安定性や研究投資の規模の面ではまだまだ大きな差があります。経営を担う人間として、この差を埋め、追い越していくことは重要な役割だと思っています。

最後に3つめは、再生医療を身近な医療とすること。iPS細胞という日本発の大発見の恩恵を一人でも多くの人に届けるために、コストを下げる努力や社会的知名度や評判を高めることも必要だと思っています。

これらの3つの目標はそれぞれ密接に関わっていると考えています。世の中に大きなインパクトを与えるような新しい薬をつくってこそ、会社の知名度や評判が高まり、経営にも良い影響が出る。利益が出た分を設備投資して薬をつくるボリュームが増やしたら、1点あたりの価格が下げられる。そんな風にして、” 「生きる」を増やす。爆発的に。”というヘリオスのビジョンを達成していきたいですね。

paragraph 5

これから大学生になる高校生に、一言お願いします。

澤田昌典氏インタビュー写真

「これしかない」という決め付けせず、複合的に物事を考え、勉強を続けてください。どんな分野の技術も、日々刻々と進化を続けています。技術は変化するということを前提で考えると、「これだけでいい」ということは絶対にないはずです。憧れの大学、憧れの学部に入ったとしても、それに満足して、その中で学べることだけを勉強していては、変化していく時代のなかで活躍していくのは難しいと思います。

逆に、いろんなことに興味を持ってトライできるなら学部なんかはあまり関係なく活躍できるかもしれません。

進路選択のアドバイスとしては、かえって迷いを与えるような言葉かもしれませんが、自分で自分の可能性を狭めず、広い視野をもってトライしてみてください。

ライン

日本を牽引する大学

ページトップへ

読み込み中です