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【シゴトを知ろう】絵本作家 編

  • マイナビ進学編集部
  • 2016.11.07
【シゴトを知ろう】絵本作家 編

誰でも子どもの頃、絵本を夢中で読んだ思い出があるはず。子どもの心に優しく触れる、温かい絵柄の絵本画。そんな絵本画はどのように描かれているのでしょうか? 今回は絵本作家として活躍される羽尻利門さんに、絵本作家というお仕事について、詳しくお話を伺いました。

何か自分の作った物で喜んでもらいたい

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい

以前はイラストや挿絵のお仕事もさせていただいてたんですけど、一昨年くらいから絵本の仕事にシフトして、今はほとんど絵本ばかりです。今進めている仕事もいくつかあって、3~4作品を同時進行しています。本当は一つの作品に気持ちが入るとそれだけを考えたくなるので、同時進行ではなく、1本ずつ集中出来るといいんですけど……。仕事ですし、それぞれのスケジュールがあるので、そういうわけにいかなくて、頑張ってやっています。

<一日のスケジュール>
9:00 描画作業
12:00 昼食
13:00 描画作業、打ち合わせなど
17:00 夕食の準備など家事
21:00 子どもを寝かしつけ、再び描画作業
1:00 就寝


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

自分が頭で考えて、自分の手で生み出した物が作品として世の中に広まって、全然知らない人が喜んだり考えてくれたり、なんらかの影響を与えているということが、自分の生きる実感にもつながっていますね。ずっと連絡を取っていなかった友人から、「子どもに絵本を読ませていたら、お前の名前が書いてあった」と突然連絡が来たりして。会社員の頃は誰かのためになっているという実感が持てませんでした。こういう仕事を選んだのは、何か自分の作った物で喜んでもらいたいという性格もあったんでしょうね。


Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?

まずは一日中、絵を描いていて、集中力が切れてしまうことですね。色を塗ってる時は頭の中が暇になるので、ラジオを聴いたり、コーヒーを飲んだりして、できるだけ集中力を保つようにしています。やはり白紙の状態から下描きを描く時の方が構成を考えたり、頭を使うので、その時は無音の中で集中してやっています。あと毎回ですけど、真っ白な状態から、いい物を作っていかなきゃいけないというプレッシャーですね。今から何カ月もかけて描いていくものがいいものになるとは限らないので。描き始めはいつも緊張します。

仕事をしながらも、生きる拠り所として、絵は描き続けていた

    絵本作家として活躍される羽尻利門さん
    絵本作家として活躍される羽尻利門さん

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?

普通の大学に通っていたのですが、就活生になって、満員電車に揺られながら説明会に行ったりしている時に精神的に参ってしまったところがあったんです。そこで、現実逃避をしたくなったと思うんですけど、突然、里山を題材にした絵を描き始めました。そこから殻がやぶけたように絵を描くようになったんです。

結局、食品系の商社に就職しまして、香港とか台湾に日本の食品を販売する仕事をしていたんですが、生きる拠り所として、絵は描き続けていました。それで、日本イラストレーター協会に入会して、そこから仕事をあっ旋していただくようになって、サラリーマンをやりながら、ちょっとずつ挿絵を描かせていただくようになったんです。

子どもができたのをキッカケに退職して、妻の地元である徳島に移住し、予備校の講師をしながら、絵の仕事を続けました。その後、だんだん仕事が増え始めて、小学校の教科書の仕事が入ったタイミングで妻の後押しもあり、絵の仕事一本に切り替えました。


Q5. 大学では何を学びましたか?

大学では、国際関係学を専攻しました。国と国の関係を、国際法・経済・政治・文化・民間同士など、一つの視点から見るのではなく、多角的な視点からみることを学んだのですが、それにより、「これはこうだ」と決めつけずにあらゆる前提を疑う考え方を養えたと思います。

また、大学時代、香港に留学していたことがあって、外から見て分かる日本の良さに気付けました。京都育ちなので、地元の良さもよく分からなかったんですけど、香港から帰って来たら、京都や日本の良さ・美しさが改めて分かって、今も描き続けている、日本の風景を描くキッカケになりました。あとは最近、アメリカで絵本を出版したり、韓国版が出る予定があるんですが、そういったお仕事で海外の方とやり取りをする際、外国語を学んでいたことがすごく役に立っています。僕はESSという英語のサークルに入っていて、外国語でスピーチをしていたので、その頃に学んだ、話の組み立て方や人前で話すということも、今、講演会などをする時にも役に立っていますね。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

子どもの頃から『ドラゴンボール』の絵をまねて描いたり、絵を描くのは好きだったんですけど、本格的に学ぶことはなくて、通信教育でデッサンを学んだり、綺麗な風景写真を模写したり、それくらいだったんです。高校時代は思春期で自分を良く見せたいと思って、オシャレしたり洋楽を聴いてみたり、モテることばかりに頭を使ってました(笑)。ただ当時、ジーンズが流行っていて、普通はジーンズを買って満足するんですけど、僕はリーバイスの広告のイラストがすごく良い味出してて、それを模写したり、絵を描くのは変わらず好きでしたね。
その後、高3の頃に国際政治とか、外国のことに興味が沸いて、そちらを選択して大学に進むんですけど、その頃、友達と進学の話をしていて、「もし、今までやってきたことで限定しないなら、画家になりたい」と言ったことを覚えてるんです。美大に行くために何か準備をしていたわけではないので、画家になるというのは現実的ではない夢だったんですが。本心では絵が描きたかったのかもしれないですね。

自分の経験してきたこと全てが作品につながる

Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?

絵を描くことが好きというのが大前提なんですけど、絵が好きでたまらなくて、絵だけ描いてればいいくらいに思えないと大変だと思います。あと、やはり人とのつながりも重要だと思うので、ただ絵が上手なだけでは仕事にするのは難しいです。コミュニケーション能力もある程度は必要ですね。僕が本格的に絵本の世界に入れたのも、同じ徳島に住んでいる、作家のくすのきしげのりさんと知り合えたことが大きいので、人と会うことが苦にならず、人脈を作れるというのも必要だと思います。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

将来、絵に関する仕事に就きたいと思っているとしても、いろんなバイトをしてみたり、部活でスポーツをしてみたり、できるだけいろんなことを経験してください。作家業なので、人生で経験してきたことが必ず作品に出てくるし、必ず自分のためになります。今は絵と関係のないことをたくさん経験してください。来年、自分で作・画のどちらも行う絵本が発売されるんですけど、ゼロからお話を作ろうと思った時、自分の子ども時代を思い出したり、これまで経験してきたことからしかネタが出てこないんです。自分がいま経験していること、これから経験することが豊富にあればあるほど、たくさんネタが出てくるので、いろんな経験をしてくださいね。


サラリーマンを経て、絵本作家として活躍している羽尻さん。いろいろな経験をしてきたことが今の創作活動に活きているとのこと。また、海外で絵本を出版する際にも、大学で学んだ外国語がすごく役に立っているということです。今している経験や勉強が、将来思わぬところで役に立つことがあるかもしれませんね。

【profile】羽尻利門
オフィシャルHP「てのひらのしあわせ」
http://hajiritoshikado.com/

最新刊の絵本
『Are You an Echo?  The Lost Poetry of Misuzu Kaneoko』
Text and Translation by David Jacobson, Sally Ito and Michiko Tsuboi
Illustrated by Toshikado Hajiri
CHIN MUSIC PRESS

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